初夏の下鴨神社に毛玉たちが集合!
「京都有頂天祭 糺の森感謝の集い」レポート!
2018年6月3日。京都・下鴨神社において「京都有頂天祭 糺の森感謝の集い」が開催されました。当日は初夏を感じさせる快晴で、日中は汗ばむくらいの陽気でしたが、夕方にはすごしやすい気温になり、糺の森にも心地よい風が吹き抜けていました。
『有頂天家族2』が下鴨神社でのイベントを行うのは、『有頂天家族2』成功祈願 <下鴨神社 糺の森たぬきの集い>以来、約1年半ぶり。作品の舞台となった下鴨神社でのイベントはファンにとっても特別で、開演の18時前には老若男女、約500人のファンたちが下鴨神社に訪れ、開演を心待ちにしている様子でした。
会場には矢三郎たちのぬいぐるみを持って参加された方や、矢三郎、矢二郎のサマーポンチョを羽織った方たちなどの姿も。
開演時刻の18時になると雅楽の音色と共に『有頂天家族』第一期、第二期でオープニング主題歌を担当したmilktubのbambooさんが舞殿に登壇。そのまま雅楽の音色を引き継ぐようにして、第一期のオープニング主題歌「有頂天人生」の前奏が流れ、荘厳な雰囲気から一転して有頂天なステージへ! 「今日は楽しみましょう!!」とコールするbambooさんに、客席も手拍子などでレスポンス。下鴨神社は一気に有頂天ワールドへと移り変わりました。
オープニングライブの後は、『有頂天家族』のイベントなどの司会でお馴染みとなった、フリーアナウンサーの三崎智子さんが登場。bambooさんにオープニングライブの感想を尋ねると「実は、舞殿で歌う男性アーティストは自分が初めてとお聞きしました。今まで世界遺産で歌う機会はなかったですし、緊張しました。ただ歌っていて本当に気持ちよかったです」とコメント。さらに今年の4月に、下鴨神社で式を挙げたというbambooさんは「聖地巡礼ならぬ、聖地婚礼をしました(笑)。挙式には『有頂天家族2』のパッケージを持参して、矢一郎と玉瀾の婚礼のように、このアングルで写真を撮ってくださいとお願いしたんです」と、“有頂天愛”溢れるエピソードを披露していました。
オープニングトークで会場が温まると、大きな拍手と共に銀閣役の畠山航輔さん、金閣役の西地修哉さん、弁天役の能登麻美子さん、下鴨桃仙役の井上喜久子さん、原作者の森見登美彦先生、TVアニメ『有頂天家族』『有頂天家族2』の吉原正行監督、そしてTVアニメ『有頂天家族』『有頂天家族2』のプロデューサー堀川憲司さんが登壇され、まずはそれぞれから挨拶がありました。
下鴨神社でのイベントは初めてとなる井上さんは、「皆さん、『おいおい』の準備はいいでしょうか?(笑) いつも4人の息子がお世話になっております。下鴨桃仙を演じさせていただいております、井上喜久子17歳です」と挨拶。それに対して会場からは「おいおい!」とツッコミ。舞殿という場所もあり、定番となった井上さん挨拶も、そこはかとなく伝統芸能のようにも感じられました。
また井上さんと同じく下鴨神社のイベント初登場となった西地さん、畠山さんは、
「東京都から来ました37歳独身、西地修哉です。イベント3日前になっても、まだ日があるなと感じてしまうほど、今日という日を本当に心待ちにしていました。皆さん楽しいお祭りにしましょう」(西地さん)
「銀閣役の畠山航輔です。とても緊張しています。短い時間ですが楽しい時間にできればと思います。今日はよろしくお願いします」(畠山さん)
と挨拶。さらに、
「下鴨神社さんでのイベントは2度目になりますが、また『有頂天家族』ファミリーの皆で伺うことができて本当に嬉しく思います」(能登さん)
「以前の下鴨神社でのイベント(『有頂天家族2』成功祈願 <下鴨神社 糺の森たぬきの集い)はものすごく寒かったのですが、今日は本当に素晴らしい天気で、大変ありがたいなと思っています。今日はよろしくお願いします」(森見先生)
「TVアニメ『有頂天家族』の監督を務めました吉原です。今日は楽しんでいってください」(吉原監督)
「僕も久しぶりに皆さんに会えて嬉しいです。懐かしい話はもちろん、先ほど森見先生には、堪えられずこれからのお話も聞いてしまいました(笑)。短い時間ですけれども、最後までお付き合いください」(堀川さん)
続いては『有頂天家族2』を振り返るトークコーナーに。三崎さんから下鴨神社での成功祈願 <下鴨神社 糺の森たぬきの集い>を皮切りに、「京巡りスタンプラリー」やMKタクシーとのコラボ企画「有頂天家族 京巡りツアー」、さらには叡山電車のコラボ電車、鞍馬駅での偽叡山電車の展示、ジェイアール京都伊勢丹での「有頂天家族2 POP UP STORE」など様々なイベント、コラボ企画についての振り返りがありました。
そんな中、
「下鴨神社さんには四兄弟のぬいぐるみをいろいろ使っていただき、作品を盛り上げてもらっています。それは他の皆さんも同じで、京都の町全体で『有頂天家族』という作品を楽しんでいただいているのが伝わってきて、本当に嬉しいです。今は先生にあまりプレッシャーをかけないようにしながら、“このまま第三部がアニメ化されることになったら、京都の町はどうなってしまうのだろう?”という妄想を楽しんでいます」(堀川さん)
「もう、お約束なので(笑)。さっきも堀川さんとお話していたんですが、第三部はまだ僕の胸の内にしかないので、もう暫くお待ちいただければと思います」(森見先生)
といった堀川さんの“毛玉愛”が早くも爆発する場面も。
またTVアニメ『有頂天家族2』の制作を振り返ってという質問では、
「第二部の舞台は山も多くロケハンでの山登りが大変でした。森見さんのことだから、絶対に原作に出てきた舞台と似たような場所があると思って探し歩いたんです。でも見つからず、もうこれ以上は歩けないと。作品ではそれっぽい場所を想像しながら設定を作ったのですが、後日ご本人にお聞きしたら、実はあまり山奥まで行っていないって(笑)」(吉原監督)
「僕はだいぶ手前で終わりました(笑)。ここまで見れば書けるなって。山を舞台にしたのは監督にいじわるをしようと思ったわけではなく、第一部で京都の町をいろいろ書かせていただいたので、第二部はもう少し範囲を広げたいなと。まあそれで監督にはご迷惑をおかけしてしまったのですが(笑)」(森見先生)
またBlu-rayやDVDの映像特典「がんばれツチノコ探検隊」に森見先生が映っていたことを聞かれると、
「たまたまあの日、京都に用事があったんです。Twitterで追っていたら、台風直撃で可哀想なくらい大変なことになっていて。これは何かしら僕にできることをしたいなと。それで出町柳駅近くにあるファーストフード店でずっと張り込んでいたんです。お店で橋のほうをずっと見張っていたら、ノボリが見えて。その瞬間はとても嬉しくて、ワクワクしました。張り込みって楽しいんだなと、いい経験をさせていただきました(笑)」(森見先生)
さらにbambooさんからは、MKタクシーに乗ってファンの方と一緒に「有頂天家族 京巡りツアー」を回ったという話題も。帰りの車内でbambooさんだと気付かれ「有頂天人生」を歌うサービスもされたとか。実は今回のイベントに、そのタクシーに同乗された方が参加されており、そのミラクルに会場からは大きな歓声が挙がっていました。
また同じくスタンプラリーを回ったという能登さんは、熱烈なファンの姿に感動したことを話されていました。
一方、今回のイベント前に京都を満喫していたという井上さん。「ここにいる誰よりも京都を楽しんでいると思います」と宣言されたように、あぶり餅を食べたり、床もみじに心打たれたり、納涼床で作品にちなんだ赤玉ポートワイン、電気ブランを堪能されたと話されていました。
京都の思い出話のあとは『有頂天家族2』のアフレコついての話題に。
「オーディションはある俳優さんに似せて金閣を演じたんです」(西地さん)
「西地さんの金閣の演技を受けて銀閣のセリフを言うシーンも多かったので、アフレコは気が抜けませんでした」(畠山さん)
などの裏話を聞くことができました。
毛玉姿の下鴨家が描かれた巨大な“有頂天絵馬”を奉納
トークコーナーの後は、成功祈願のお礼として下鴨神社に特大の“有頂天絵馬”が奉納されました。森見先生、吉原監督が絵馬にかかった白い布を取ると、タヌキ姿の桃仙、四兄弟、玉瀾が描かれた可愛らしい絵馬が登場して、客席からは大きな歓声と拍手が沸き起こりました。ちなみにこの絵馬は幅が150cm、高さが100cmあり、今回のために制作された特別なもの。イラストは『有頂天家族2』のキャラクターデザイン・総作画監督である川面恒介さんが手掛けられました。
森見先生、吉原監督から下鴨神社に奉納された“有頂天絵馬”。イベント終了後は、下鴨神社の中門近くに飾られるとのこと。今回残念ながらイベントに参加できなかったファンの方も、“有頂天絵馬”を見ることができます。
奉納された“有頂天絵馬”のお礼、そして『有頂天家族』は、下鴨神社の素晴らしさを国内外に広く紹介するきっかけとなったということから、今度は下鴨神社から制作陣に感謝状が贈られることが発表されました。 感謝状と記念品を受け取った堀川さんは「毛玉愛なら誰にも負けないので、これからも下鴨神社がより世界中に広められるよう、先生と共に『有頂天家族』を頑張りたいと思います」と力強く宣言されていました。
それに対して森見先生は「『有頂天家族』を書き始めた頃は、ご近所だからという理由で作品に登場させていただきました。まさかその作品がアニメになり、しかも下鴨神社さんからいろいろ応援していただけるとは思ってもいませんでした。大変ありがたく思います」と感謝の意を伝えられ、会場からは大きな拍手が沸き起こっていました。
そんな中、「大変名誉なことです。でも『有頂天家族』って僕ら夷川家が盛り上げているところもありますよね」(西地さん)。「実質僕らが感謝状を貰ったようなものですよね」(畠山さん)という発言が飛び出しました。
すると「こら、金閣、銀閣! 調子に乗るのもいい加減にしろ!!」と矢三郎役の櫻井孝宏さんの声が! 今回のイベントには残念ながら参加できなかった櫻井さんでしたが、サプライズとしてコメントを寄せてくださいました。櫻井さんからは、これまで『有頂天家族』を支えてくれたファンや関係者の方々へのお礼や、金閣、銀閣の阿呆兄弟にステージを譲ることになってしまい大変悔しいと。さらに母や弁天に対して気を使いつつ、「3期と言わず5期、10期くらいまでやる気満々で待っています!」という森見先生への熱いエールも。
しかしそれを聞いた西地さんと畠山さん、というよりも、すでに金閣と銀閣になった2人は
「ツチノコ探検隊ってありましたけど、夷川家だって“偽電気ブランを作ろう!”のコーナーが映像特典としてあってもよかったんじゃないかな? 夷川家も何か爪あとを残したい」(金閣)
「うんうん、皆も夷川家の活躍を見たいんじゃないかなって思うんだよね」(銀閣)
という流れから、舞殿では西地さん、畠山さん、井上さん、能登さんによる、オリジナルショート劇が披露されました。
ショート劇は、下鴨神社を舞台にした夷川家の特別エピソード。下鴨神社でツチノコが目撃されたという情報を手に入れた金閣、銀閣。矢三郎、矢四郎に化けて下鴨家よりも先にツチノコを見つけ出そうとするも、紆余曲折あり弁天を怒らせてしまう、という内容でした。金閣を演じる西地さんが『有頂天家族』のキャラクターたちのモノマネをしたり、桃仙を演じる井上さんの温かい演技を目の前で見ることができたりと、会場からも大きな笑いや拍手が起こり、集まったファンは約20分のオリジナルショート劇を存分に楽しんでいました。
劇を終えて
「実は本番前、西地君は控え室で『どうしよう、どうしよう……これ、やばいッスよ』って言っていたんです(笑)。でも西地君の矢三郎は似ていましたし、畠山さんの矢四郎も可愛くて、息子たちのことを思い出しました。お二人の新たな一面を発見できて楽しかったです」(井上さん)
「本当は笑いたくて仕方なったんです。でも台本のト書きには『弁天まったく笑わず』『募る怒り』みたいなことが書かれてあるので、こらえるのに必死でした。西地さんの演技、顔芸が本当に面白かったです」(能登さん)
「これ、台本に書いてあることを忠実にやっただけですから! ファンの方お気を悪くしないでください。僕はやらされた人間です(笑)」(西地さん)
「銀閣は、中原麻衣さんが演じる矢四郎、佐倉綾音さん演じる海星のモノマネをやらせていただきました。あとで中原さん、佐倉さん、そして所属事務所の方には、きっちり謝っておかないといけないなって(笑)」(畠山さん)
そして辺りが劇と同じような宵闇に包まれた頃「京都有頂天祭 糺の森感謝の集い」も終演に。舞殿には改めてゲストの8名が登壇して挨拶となりました。
「本日はありがとうございました。繰り返しになってしまいますけど、やはり期待するのは……先生よろしくお願いします!」(bambooさん)
「私、この作品大好きなんです。つい最近もアメリカのアニメのコンベンションで“アメリカのファンに知ってもらいたい作品はありますか?”という質問に、『有頂天家族』という素晴らしい作品があります。日本はもちろん世界中の人に楽しんでもらいたいですと答えました。今回初めて下鴨神社さんのイベントに参加させていただきましたが、本当に皆さんの笑顔、温かい眼差しに感動しました。これからも末永くこの作品を応援していただけたら嬉しいです」(井上さん)
「今日は楽しい時間を皆さんと共有することができて本当に嬉しかったです。たぶんこれは僕の片思いじゃないと思います。皆さん本当にありがとうございました」(西地さん)
「第一期の『有頂天家族』の時は、高校生で参加させていただきました。今でも緊張してしまうことも多いのですが、本当にキャスト、スタッフの皆さん、そしてファンの皆さんが温かく迎えてくださるので、作品名のように家族愛を感じています。今後も『有頂天家族』は続いていくと思うので、皆様応援よろしくお願いします」(畠山さん)
「昨年の1月にこの場所で成功祈願のイベントをさせていただいた時と同じように、こういった形でまた皆さんの前にみんなで来ることができて、本当に感無量で幸せな気持ちでいっぱいです。今日だけは言っても許されるかなと思いますので……先生の中には第三部もきっとうごめいていらっしゃるでしょう。この作品を末永く応援していただいて、また皆様と何かしらの形でお会いできたら嬉しく思います」(能登さん)
「『有頂天家族』のイベントには私も何度も呼んでいただき、大変ありがたく思っています。本当にいろいろな方に大切にしていただいている作品になって、原作者として大変幸せです。僕もイベントやお祭り騒ぎには積極的に出たいと思っているのですが、そろそろ誤魔化しがきかなくなってきまして……。そろそろ第三部をちゃんと書かないと、もはやイベントが発生しない状況になってしまいました(苦笑)。皆さんには、もう少しだけお待ちをいただければと思います」(森見先生)
「まだ第三部を書き始めた記念で、お祝いのイベントができます(笑)。僕にとっても『有頂天家族』は大事な作品。今回も多くのファンの方に集まっていただき、本当にありがたい、感謝の気持ちでいっぱいです」(吉原監督)
「『有頂天家族』は面白いというだけではなく、作り手にとってもファンの皆さんにとっても、そして先生にとっても大切な作品。何十年かけてでも、この作品と一緒に歩み続けたい、自分たちも作り続けたいと思えるような特別な作品にしていきたいと思っています。先ほどの“有頂天絵馬”の裏はまだ真っ白で、僕らの未来の願いがいくらでも書けます。なので、あまり先生にプレッシャーをかけないように……というのは独り言です(笑)。本日はどうもありがとうございました」(堀川さん)
最後は再びbambooさんによるライブとなり、『有頂天家族2』のオープニング主題歌「成るがまま騒ぐまま」が披露。そして締めの挨拶では舞殿にゲスト全員が登壇して、「面白きことは~」というコールに、会場からは大声で「良きことなり!」とレスポンス。こうして下鴨神社で行なわれた「京都有頂天祭 糺の森感謝の集い」は終了となりました。